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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第10章 第三話【波の音】 衝撃の真実 
「何じゃ、お前さんは何も知らんのかね。亮平の奴、深間になった女にくらいは喋っておけば良いものを」
 男が呟いた時、庭先に亮平の姿が見えた。今日は月の一度の海神(わだつみ)の日である。この日は漁師は海に出ず、米と酒を供物として海に捧げる。海の神に感謝と祈りを捧げる日として昔から村で大切にされてきた伝統である。朝、亮平は床にいる幸を残し、さっさと一人で浜辺に出ていった。大方、海へ供物と祈りを捧げてきたに相違ない。
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