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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦 
 幸はオルガンを弾きながらも時折、子どもたちの一生懸命な顔をちらりと見て、微笑ましく思った。上は十二歳から下は六歳までの子どもが八人、それがこの小学校の在校生のすべてだ。満足な設備もなく、黒板と粗末な机と椅子が並んでいるだけで殺風景な部屋だが、子どもたちの元気な声が響き渡るだけでその部屋が生き生きとしてくる。
 オルガンの音が途切れ、子どもたちの歌声が止んだ。唄が終わったのだ。幸は手を叩くと、子どもたちの顔をひととおり眺め渡した。
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