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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦 
 まだ朝早くとて、浜辺には幸の他に人影はない。幸の足許に一匹の犬がじゃれているだけだ。これは幸が半年前から飼い始めたばかりの犬だ。浜辺に棄てられていたのを拾った時、まだ、ほんの子犬だった。母犬を求めて鼻を鳴らしていたその姿が、都市に置き去りにした幼い我が子と重なり、気が付けば、腕に抱き上げ、頬ずりしていた。
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