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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦 
 その刹那、幸の脚が砂に縫い止められたように動かなくなった。浩三はこんなに突っぱねてもなお、幸を求めようとしている。けして強引ではない、辛抱強く相手の心が開くまで待つのは、いかにも浩三らしい穏やかなやり方である。亮平は、嵐の海のような烈しい愛で幸を翻弄した。浩三の凪いだ海のような愛情は、幸をゆったりと包み込む。だからこそ、幸は亮平ではなく、浩三を愛したのだ。
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