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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦 
「家庭教師と言いますと、何かたいそうに聞こえますけど、実のところは子守りのようなものですわ。いつもは妹の浩さまのお守りもしていますが、今日はどうでも幸太郎さんがお母さまの許へゆくと言い張るので、浩さまは女中に預けて、私がついて参りましたの」
「そう―ですか」
 幸は頷いた。浩三は昼間は大学に勤務している身だ。元々乳母などは雇わず幸が二人の子どもたちを育てていたのだから、幸が不在であれば、子守りを雇わねばならないのは至極当然だ。
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