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第11章 第四話【縁～えにし～】　早春賦　

　大人しそうに見えるけれど、実際は勝ち気な性分なのかもしれない。見たところ、それなりの家の娘のように思えるし、浩三が子どもたちの家庭教師に選んだからには、しっかりとした家柄の教養もある女性に違いないだろう。だが、今、美登利が幸に見せた言動は到底常識を越えている。
「もし奥さまがお宅にお戻りになられるおつもりがないのでしたら、私が旦那さまに私の気持ちをお伝えしても構いませんよね」