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第19章 番外編第二話【薔薇ものがたり】　薔薇の乙女　　

　伊右衛門の絵も色つけの作業が半分以上出来上がった。その日も朝から雨もよいであった。白い清潔な褥の上に素肌のまま仰向けになった弥生は、身を起こして肘枕をしてポーズを取る。それから脚を左右に開いた。その上から伊右衛門が真紅の薔薇の花を撒く。
　伊右衛門の熱い視線が今日もまた弥生のなめらかな肌の上を執拗に這う。弥生はそれを身体全体で感じ取りながらも、言い知れぬ哀しさを憶えていた。