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第19章 番外編第二話【薔薇ものがたり】　薔薇の乙女　　

　と、徳三郎が聞けば、またしても激怒するようなことを平然と言っている。昔から、この兄は一風変わっていた。大学を優秀な成績で卒業し講師になった息子を、父は「学者になりおった」と自慢の種にしている。が、女は男に従うべきものと信じて疑わぬ父とは対照的に、兄はまだまだ封建的な考えが根強く残るこの時代に「男女平等」なぞと弥生には訳の判らぬ思想を信奉している。