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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花 
 以来、十三の年から光円は修行に明け暮れてきた。寺に入って半年後には剃髪し、光円という法名も頂き、俗世とは無縁の日々である。両親や姉弟妹(きょうだい)にも逢うことはなかった。だが、先代住職を師とも父母とも仰ぎ、光円は立派な尼僧となるべく修行に打ち込んだ。それが二度とは逢えぬ両親への孝養にもなるのだと自身に言い聞かせた。先代住職は厳格ではあったが、道理の判らぬ人ではなかった。元は京の公家の姫君であったという。
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