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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花 
 とくは光円が寺に来る前から仕えていた使用人である。何でも元は村人で百姓をしていたのだが、亭主が仕様もない飲んだくれで難儀していたのを、先代の住職が見かねて引き取ったのだそうだ。子もいなかったとくはそれからずっとこの寺に居着いている。
「とく、いかがしたのじゃ。そのように慌てて」
 光円が優しく問うと、とくは大仰な手振りを交えてまくし立てた。
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