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欲しいのは愛だけ
第11章 亀裂の修復
ふーちゃんは満足したのか眠り始めてしまったので、
背中をトントンしてからベビーベッドに寝かせて、髪をそっと撫でる。
航平さんによく似た、少し癖がある栗色の髪。


「メイ、隣に座って?
話をしようよ」と言われて、
航平さんの隣に座って寄り掛かってみる。


クロエの香りを吸い込んだら、
かなり気持ちが落ち着いてくる。


「何から話そうかな?
まず、仕事の話をしても良いかな?
これ、相談じゃなくてほぼ事後報告になるんだ」と切り出した。


ずっと勤務してきた大手の弁護士事務所を円満退職することにした。
そして、お義父様と共同名義で個人の弁護士事務所を立ち上げる。
元々、担当していたいくつかの企業様はそのまま、航平さんが担当することになってるから、
基本的に既にクライアントを確保した状態での独立になり、
経済的な心配はない。
事務所の登記は、隣の部屋にしてあって、
自分の書斎がそのまま仕事部屋になる。
ただ、電話なんかは、
別の回線が必要なのと、
念の為、小さい応接スペースは作るから、少しリフォームが必要になる。

企業様との打ち合わせなどは、
先方の会社に出向くから、ここには基本的には顧客は来ない。
これまでの事務所とも提携していくので、
そちらの事務所の部屋も必要なら使えるということだった。


「その根回しなんかで、バタバタしてたんだ。
でも、昨日、全部終わったよ?」と笑う。

「これで、家に居る時間を増やせるし、
メイの子育て、もう少し手伝えるようになるから、
もう1人だけ、子供作るの、
考えて欲しいんだ。
やっぱり、俺、自分が一人っ子だったから、
ふーちゃんに弟、作ってやりたいんだよな」と言った。


「あとさ、これは相談なんだけど、
メイ、俺の秘書業務、やってくれないかな?
勿論、給料、払うよ?
クライアントの半分は、外資系だから英語使うし、
法学部だから知識あるし、
そしたらもっと一緒に居られるし」


私は目を丸くして、ただ聞いてるだけだった。


「それとさ、男の子を作る方法があるんだって。
あ、確率を上げるだけだけど、
その話を昨日、学生時代の友達に訊いてさ。
嬉しくてつい、飲み過ぎたんだよな」と、
本当に子供みたいな顔で笑った。


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