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欲しいのは愛だけ
第5章 まさかの妊娠?
翌日、夜が明けたばかりの白茶けた空がカーテンの隙間から覗くような時間に目が覚めた。


ノロノロと起き上がり、
ソファに投げ出すように置いた鞄からスマホを出してみると、
いくつか着信があった。
最後の着信は1時過ぎのもので、
全て航平さんからだった。


ショートメールも来ていた。

最初は、「返事出せなくてごめん」というもので、
「電話して?」
「どうした?」
「何かあったのかな?」
と言う感じだった。


まだ、5時台だけど、
取り敢えず、
「航平さん、おはようございます」とショートメールしてみた。


そしたら、すぐに着信があったので、
電話を取った。


「メイ?
心配してたんだよ。
連絡出来なくてごめん。
でも、昨日はやっと電話出来たけど、
全然反応ないから、
何かあったのかと」

「えっと…
昨日の夜、打ち合わせがてら夕食してたら体調悪くなっちゃって…」

「これから行くから。
10分後に!」と言うと、電話が切れた。



インターホンが鳴ったので、モニターを見て解錠して、
玄関で待っていると、すぐに航平さんが小さくノックをした。


ドアを開けると、そのまま強く抱き締められる。

航平さんは仕立ての良いスーツを着て、バッグは下に投げ出していた。


「あの…苦しいです…」と言うと、
「ごめん。
入っても良い?」と言って、
私の顔を見る。


靴を脱いだので、
しゃがんで揃える。
前夜、具合が悪くて自分の靴を揃えることも出来て居なかった。

そのまま、抱き抱えられるようにソファまで行って、
2人座った。


「具合悪いって…?」と私の顔を見て言うので、

「食事してたら、
気持ち悪くなってしまって…。
お腹も痛かったから、
昨日は着替えもしないでこの格好で眠ってしまって…
着信に気が付かなかったんです。
ごめんなさい」


「吐き気?
お腹も痛い?
もしかして、悪阻じゃないのかな?
心配だよ」

「えっ?
悪阻ってこんなに早く来るんですか?
生理痛の前触れかもしれません」

「先週って言ってたよね?
遅れてるの?」

「1週間くらい…」

「下腹部が痛いんでしょ?
9時になったら、病院行ってみようか」

「えっ?
大袈裟じゃないですか?」

「病院行かないなら、
せめて、今日は会社休んで、
ゆっくり寝てて?」

「判りました」と頷いた。

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