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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
「ん……?」
いつもの鬱蒼とした木々の木陰を歩いているとケイルはサクナを引き止め一点を見る。
「……ヴァミン!?」
「あぁ……お前、本当に体調悪かったんだな」
そう言いながらケイルは無空間より星剣を取り出し、見つめた方に躯を向けサクナの前に立ち塞がりる。
「まずい……狼タイプのヴァミンか……」
鬱蒼とした木々から五、六匹のヴァミンが一斉に二人目がけ襲ってくる。
ケイルは地を蹴りヴァミン目掛け剣で斬りつける。
スピード、技、ともに申し分のないケイル、三匹のヴァミンを容易く霧へと帰した。
しかし至近距離で全てを捌くにはやや剣では不利。
残りのヴァミンがケイルを捉える。
ケイルが間合いとり後ろに跳躍した瞬間────
『風花障壁っ!』
ガンっと、ヴァミンは見えないないかにぶつかりその周辺に淡い桜色の花びらが舞う。
その一瞬の隙にケイルは剣を振りかざし、ヴァミンが狼狽える間もなく霧へと帰した。
「まにあった」
「ああ、ありがとサクナ。助かった」
クシャクシャとケイルはサクナの髪を撫でる。