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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第15章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (前編)
不安は強い心と変わる。
サクナはまだ見た目には変化のないお腹に手を当てる。
月ものの予定日は来週、更にその一週間ほど遅れたら懐妊してると言ってほぼ間違いないと思う。
まだ、可能性で確定ではない。
だけど、ゼロではない可能性があるならば、護ってあげなければならない。
「サク……」
ルカはお腹を押さえるサクナの手に自身の手を重ね愛しげにサクナを見た。
「また、強い眼をしてる……サク、俺の事頼って? 甘えていいから、辛かったり不満があったら全部隠すな」
「それは……甘えすぎだと思うけど……」
「サクはそのぐらいで調度いいんだよ、母子ともに元気であって欲しいから……な?」
ルカはサクナが強くあろうとすると、それにストップをかける。母親になるのだから強くあるべきだと思うのだが。
だけど、サクナは「うん」と答えた。
きっと、ルカは頼られるのが好きなんだろ。
強くありたいと思う気持ちも大切なこと。この王宮で過ごしてゆくのだから。だけど甘えるのも愛情のひとつ、恵みを受けたのはふたりなのだから。