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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第16章 誕生祭 ~舞踏会の華たち~ (後編)
眩しい夏の太陽に輝く水辺の宮殿。
陽の光に反射する水面の揺らめきが幻想的で湖に浮かぶ宮殿を照らしていた。
石造りの橋で繋がれた先には大聖堂が見える。
陛下の公式行事でも滅多に開かれることのない水辺の宮殿での舞踏会。
「緊張してる?」
宮殿の応接室にて、マホガニーのソファに腰をかけ仲睦まじく寄り添いながらルカはサクナに尋ねた。
落ち着いた表情を見せるルカの隣でややひきつった表情をするサクナ。
その様子をクスリと微笑みながら執事長のレオナールは紅茶の入ったカップをのせたソーサーをテーブルに置く。
「無理もありません陛下。国中の王族や貴族が集まる盛大な舞踏会が姫様の初めての舞踏会なのですから」
「畏まることはない。普段通り俺の傍にいればいい」
ルカは強ばるサクナの頭を寄せこめかみにキスをする。
「…………普段通りは……困る」
「はは、それもそうだな。それだと俺が困ってしまうしな」