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一度殺されるほど憎まれた王子に溺愛されて孕まされそうです
第2章 ♝二度目の人生♝
エステレラ・ヴィアラッテアには、一度目の人生の記憶がある。一度目の人生でも、彼女はアルテミスナイト王国の第一王子であるナハト・アルテミスの婚約者であった。ナハトは幼い頃から容姿端麗であり、その髪は月光のごとく輝く金で、その瞳は夜空の星々を閉じ込めた宝石だった。一方のエステレラは、灰色に近い髪と薄青い瞳で、よく地味だと言われていた。はじめてナハトに婚約者として会った時、彼は口にこそ出さなかったけれど、その目で雄弁に「こんな地味なやつが婚約者か」と語っていたほどだ。
______それでも、エステレラはナハトが好きだった。
「………………」
きっと、彼は覚えていないだろうけれど。まだ婚約がきまっていなかった頃、エステレラはナハトに会っていた。ランチュリラというアルテミスナイト王国の伝統楽器を嗜んでいるエステレラは、ある日のコンクールでとても緊張していた。そんな彼女に声をかけ、お守りだと言って指輪をくれたのがナハトだった。その時は彼が王子だなんて知らなかったけれど、それからずっと、エステレラはナハトが好きだったのだ。彼の婚約者になれて幸せだった。彼に好きになってもらいたくて、エステレラなりにいろいろ努力もした。
けれど。
(けっきょく、ナハト様が恋をしたのは………)
______エステレラではなかった。
______それでも、エステレラはナハトが好きだった。
「………………」
きっと、彼は覚えていないだろうけれど。まだ婚約がきまっていなかった頃、エステレラはナハトに会っていた。ランチュリラというアルテミスナイト王国の伝統楽器を嗜んでいるエステレラは、ある日のコンクールでとても緊張していた。そんな彼女に声をかけ、お守りだと言って指輪をくれたのがナハトだった。その時は彼が王子だなんて知らなかったけれど、それからずっと、エステレラはナハトが好きだったのだ。彼の婚約者になれて幸せだった。彼に好きになってもらいたくて、エステレラなりにいろいろ努力もした。
けれど。
(けっきょく、ナハト様が恋をしたのは………)
______エステレラではなかった。