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濡れて堕ちて……
第7章 淫獣


「んっ?」


気づくと、私は

自宅のキッチンのテーブルで顔を伏せて眠っていた。


あ、あれ?


私さっきまで徹の部屋にいたんじゃ。

徹に別れ話して

あ、そう言えば徹の部屋で倒れたんだっけ?


でも、今は自宅でうたた寝してる。


どういうこと?

私、夢でも見てたの?

確かに徹の部屋に行ったはず。

あれが夢だとしたら妙にリアルだ、コーヒーの味まで覚えてる。

もしかして、徹が送ってくれたの?

でも徹は私の家の場所なんて知らない。



あれこれ考えてると



「陽子」

いつの間にか目の前の椅子に浩一が座ってた。

「あ、浩一。帰ってたの?」

浩一の帰宅時間まで眠ってたのかな。

晩ご飯の準備しなきゃ…

「あ、ごめん。今すぐご飯作るから」






「お前、ずっと俺を騙してたんだな」


その一言にドキッとした。


「な、何が…?」


浩一の顔、いつにも増して真剣だ。

明らかに怒ってるのがわかった。




「俺を騙して、違う男と──────」





え…?

心臓が

凍り付いたようにパキッと音を立てる。


「な、何の事…?」

「とぼけんなよ…」


冷や汗が額から頬に流れる。


一生隠していくはずだった私の罪を、どうして浩一が?
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