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近くて遠い
第4章 決意と出会い
────…

他の街がそろそろ眠りだそうとするころ、起きる街がある。


特有の雰囲気と香り


ネオンが輝くその場所に私はいた。



もうこれしかない。


選択の余地がないのだから。




私は意を決して、『radice(ラディーチェ)』と書かれた高級そうなお店に入った。




「いらっしゃいませ!!……?あの…お客様は……」



「働かせてください!!!!!!!!」




インカムをつけたその男性に私はすかさず頭を下げた。



夜の仕事はしない──



お母さんとの約束を私はついに破ろうとしていた。




「ちょっ…君!いきなりなんなんだ!」



「働かせてください…お願いします!お金がいるんです!!」





慌てる男性に構わず私は必死に頭を下げ続ける。



「お願いだから大きな声を出さないでくれ…店内に響いてしまうだろう…」



「何でもします!どんな雑用でも!お願い……お願いです。」



「だから、静かにしてくれって…大体君この世界をそんな甘くな──」


「ちょっと一体どうしたの?!大きな声が中まで響いてるわ!!」
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