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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第1章 幸せの風景(第一部)
「ねえ、ママッ・・・・ママッー・・・」

短い時間旅行を、弾けるような声がさえぎった。

「やっぱり、アップにした方がいいかなぁ?」

細い両腕でたくし上げた髪を押さえたまま、少女が駆け込んできた。

チェックのスカートが翻り、スラリと伸びた足が一層長く見える。

夏服の白いブラウスはもう十分にそれと分かる程、胸に膨らみを作っている。

首元で結んだ水色のリボンが、高校生らしい愛らしさを演出していた。

ふっくらした顔は妻の少女の頃と瓜二つで、幼さをまだ宿している。

それでいてスリムなあごの先端が輪郭を引き締め、大きな瞳と共に美少女としての条件を十分過ぎる程満たしていた。

うなじを露にした仕草に晴彦はドキリとした。

何故か急に大人びた印象に見えたからだ。

「ねぇ、ママァ・・・」

だが、母親に擦り寄る仕草はまだ子供らしさを失っていず、少しホッとするのだった。

「さあねぇ、どっちかしら・・・?」

はぐらかす妻に、圭子は拗ねるような口調で言った。

「だって、真理・・・・みんなが、子供っぽいって言うんだもん・・・」

「フフフ・・・」

娘の真剣な表情に、思わず笑みをこぼしている。

「もう、ママったらー・・・・まじめに答えてよぉ・・・」

唇を尖らして詰め寄る娘に、晴彦が助け舟を出した。

「パパは、いつもの方が好きだな」

「そ、そう・・・・?」

予期せぬ言葉に一瞬、声を詰まらせた圭子だったが、それで踏ん切りがついたのか、ようやく腕を下ろした。

フワリと髪が首筋を覆い、天使の輪が艶やかな髪に現れた。

セミロングの髪型は昔ならオカッパと呼ばれたのだろうが、アイドル風にアレンジされていて、少しもおかしくない。

幼さは残るかもしれないが、愛らしい圭子の美しさが一層際立つと父は思った。

「うん、ママもこっちの方が好きよ・・・」

妻は優しい声で娘を抱き寄せた。

「そうかなぁ・・・」

素直に身をまかせた圭子は、母の身体にもたれながら父の方に視線を向けた。

「本当にそう思う、パパ?」

不安そうに聞く娘に、晴彦は力強く答えた。

「ああ、圭子はその髪型が一番良く似合うよ」

「圭子はパパが気に入れば、それでいいんでしょ?」

「そんな事、ないけどぉ・・・」

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