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レモンティーな朝焼け―母娘調教―
第9章 公園の風景(第二部)
「はい・・・そうです・・・すみません・・・・急に気分が悪くなって」

途切れ途切れに話す圭子の声は力なく、携帯電話を持つ手も心なしか震えている。

「家には、今から帰ります・・・・はい・・・・明日は、大丈夫だと」

電話が切れると、背中をベンチにもたれさせた。

「フッー・・・・」
圭子は大きく息を吐いた。

幼子の無邪気な声がそれに重なる。

平日の公園は人影も少なく、何組かの母子が砂場で遊んでいるだけだった。

圭子はベンチに座ったまま、ボンヤリと眺めている。

学校に連絡すると、担任の教師は心配そうな声で気遣ってくれた。

欠席する場合は普通、保護者から連絡しなければならないのだが、圭子は普段から模範生なので、あっさりと承諾された。

本当に気分が悪いのだから、後ろめたく思う事もないのだが、まさか自分が痴漢にあったなどとは口が裂けてもいえなかった。

最初は母から学校へ連絡してもらおうと、家に電話したのだが出かけているようで留守番電話になっていた。

録音するのも億劫な気がして、そのまま発信を切った。

「あっ・・・いけない・・」

今日の放課後に会う約束を思い出した圭子は、友達の真理にメールを打った。

体調を崩して学校を休んだ事を手短な文章にして送信した後、マモルにも発信しようと言葉を選んでいたら、涙がボロボロと零れ落ちてきた。

今更ながら、今朝の出来事の重大さが身に染みるのだった。

『ゴメンネ』の文字が霞んで打てない。
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