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嵐の夜に痕をつけられて
第5章 亮太の執着
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「立川」
優しい声が頭の上から降ってきた。
思わず顔を上げると、今まで見たことのない柔和な笑顔で相川さんが私を見ている。
「立川、忘れられそう?」
「……いえ」
「忘れたい?」
相沢さんは一言話すごとに、一歩ずつ私に近づいてくる。忘れたい? と聞かれたら答えは決まっている。
忘れたい。忘れさせて。もう一度、して。
そう答えていないはずなのに、気がついたときには私は相沢さんの舌と絡まっていた。
「はっ……んっ……」
昨日の、激しく奪われるようなものとは違う。
少し探るような、労わるような口づけだった。
口の中を愛撫されることがこんなに気持ちがいいなんて知らなかった。
優しさが流れ込んでくる。もう大丈夫だよ、と言われている気がした。
安堵で思わず涙が滲んだ。
夢中になって相沢さんを追いかけていると唇が離れ、代わりに大きな腕に包まれた。
私はこの腕を知ってる。
亮太のような暴力的な強さじゃない、守られているような心地良さがあった。
「ちゃんと忘れろよ」
そう言って私の頭を撫で、相沢さんはそれじゃ、と言って帰って行った。
優しい声が頭の上から降ってきた。
思わず顔を上げると、今まで見たことのない柔和な笑顔で相川さんが私を見ている。
「立川、忘れられそう?」
「……いえ」
「忘れたい?」
相沢さんは一言話すごとに、一歩ずつ私に近づいてくる。忘れたい? と聞かれたら答えは決まっている。
忘れたい。忘れさせて。もう一度、して。
そう答えていないはずなのに、気がついたときには私は相沢さんの舌と絡まっていた。
「はっ……んっ……」
昨日の、激しく奪われるようなものとは違う。
少し探るような、労わるような口づけだった。
口の中を愛撫されることがこんなに気持ちがいいなんて知らなかった。
優しさが流れ込んでくる。もう大丈夫だよ、と言われている気がした。
安堵で思わず涙が滲んだ。
夢中になって相沢さんを追いかけていると唇が離れ、代わりに大きな腕に包まれた。
私はこの腕を知ってる。
亮太のような暴力的な強さじゃない、守られているような心地良さがあった。
「ちゃんと忘れろよ」
そう言って私の頭を撫で、相沢さんはそれじゃ、と言って帰って行った。
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