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淫夢鉄道の夜
第2章 ヤリサーのリーダーだった男
その流れで夕食のときも話題は大学時代の話になった。友樹は理工学部、佐藤は経済学部、広いキャンパスの中でも校舎は端と端。あまり接点はなさそうだったが、それでも一般教養は同じ科目を取ることもあるから共通の先生はいる。大学の近所のカフェや居酒屋も知っているところが多い。二人はますます打ち解けていった。

「奥さんとは大学のサークルで知り合ったって言ってましたけど、奥さんもボクたちと同じ大学ですか」

「そうです」

「後輩?」

「いえ、同学年です」

「そうか、ボクの一つ下かあ。知ってる子かなあ」

「どうでしょう、やたら人数の多い大学でしたからね」

「写真あったら見せてもらってもいいですか」

「いいですよ」友樹はスマホをいじり、夏休みに二人で旅行に行ったときに撮った写真を画面に出して佐藤に渡した。「これです」

「へえ、美人ですね。ショートカットがよく似合ってる」

「そうですかねえ。たいしたことないですよ」

友樹は謙遜したが、佳純が褒められるのはやはり嬉しかった。

「いやいやいや、かなりの美人ですよ。あの子に似てる」

佐藤は、結婚したい有名人ランキングによく出てくる女優の名前をあげた。

「こんなきれいな子がうちの大学にいたんだ」名残惜しそうに画面を見ながらスマホを友樹に返すと、

「高倉さんの前に知り合ってたらボクがものにしてましたよ」

佐藤は少し悔しそうに顔を顰めてから、友樹を見て愛想よく笑った。

「それは申し訳ありませんでした」

友樹もおどけながら頭を下げた。
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