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縛られたい
第9章 本当のプロポーズ〜まりあ
2人の子供たちの前で、
緊張しながら婚姻届に署名する。


「ほら、ちゃんとプロポーズしてよ?
お父さん!」とゆりあさんが言う。


「えっ?
指輪も薔薇の花とかも用意してないよ?」と阿部さんが言うと、

「はい!」と優斗くんが隠していた紅い薔薇の花を持って来てくれる。

「あのね、お小遣いだと、
お姉ちゃんと合わせてもこれしか買えなかったんだよね。
でも8本は末広がりで良い数字なんだって?」と笑うけど、
私は嬉しくて泣いてしまっていた。


「指輪はお父さん、買ってあげてね?」とゆりあさんも少し泣きながら笑う。



阿部さんは、跪いて私に薔薇を渡しながら、
「まりあさん、
結婚してください。
頼りないかもしれないけど、
絶対にまりあさんも子供たちも護るから。
大切にすることを誓います。
お願いします」
と言った。


「はい。
宜しくお願いします」と言うと、

「ここで誓いのキスでしょ?」とゆりあさんが言う。


「えっ?
ここで?」


「早く!
大丈夫。
優斗の目は塞いでおくから!」


「ヤダ!
ズルいよ。
僕も見てる!」


「公開でキスするの?」


「結婚式だって、みんなの前でするでしょ?
練習だよ?」


「結婚式?
考えたこともなかった」


「とにかく、早く!
お父さん、まだ、キスもしてないんでしょ?
ここで決めないと!」



「判ったよ」と言って、
阿部さんは私を抱き寄せると額と頬にそっとキスをしてくれる。


「もう!
お父さん、それじゃダメ!
唇にちゃんとして?」


「えっ?」


阿部さんが躊躇してるので、
私から首に腕を回してキスをした。


「やったぁ!!」と、優斗くんが笑う。


ゆりあさんは、
「もう、お父さんたら、
しっかりしてよ?」と言うと、
「これ、出しに行こう?
土日祝日も、婚姻届は提出出来るんだって?」と笑った。


イキオイに押されるように4人で役所に届け出をした。

「2人の子供たちと私の養子縁組は?」と阿部さんに訊くと、
「そんな手続きもあるのか?」と言った。

「用紙だけ貰っておこうか?」と、役所の人にお願いしてそれは持ち帰ることにした。


その後、4人で阿部さんの実家に行って、
入籍の報告をした。

お2人とも、とても喜んでくださって、
私たちは法律上もひとつの家族になった。




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