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訪問 保育士Natsu
第3章 保育士のNatsuさん
 早朝、息を切らせてNatsuは出勤してきた。もうすでにもう一人の同僚は出勤していた。

 昨晩、盛り上がってシャンパンを飲んでしまったのが響いて遅刻しそうになったが何とか間に合った。

 もう、7時になるので早い保護者は預けに来るのであった。まだ、火照って赤い顔のNatsuは、
「ごめんなさいね、遅れそうになったわ」
「大丈夫ですか、なんだが顔色が赤いですよ」

 二日酔いともいえないNatsuは、朝びっくりして体温を測ったが正常値であった。そのことを説明していると、

「おはようございます」と言っていつものケー君がママと共にやって来た。

 そして、Natsuの昼職が始まった。

 早朝はトイレをすましていない起きたての子が多くておむつ替えや、トイレで慌ただしく過ぎて行く。

 何処のママさんも朝は戦争であって担ぐように子供を連れてやってくる。

 欠席連絡をのぞく予定の子供たちが揃うと、ある程度は自由に遊ばせて行動を観察していると『あれ』という感じがして視ると、朝いちばんに来たケー君は明らかに元気がない。

 朝の検温はクリアしていたはずと、再検温をすると37.8であった。
「ケー君、お熱あるようです。7.8です」と主任先生に向って報告。
「あら、朝はクリアなのね」
「はい、そうでした」
「再検温してください」
「やっぱり、お熱あります。8.2になりました」
「お迎え連絡しましょう。Natsuさんお願いします」

 連絡をしてから2時間を過ぎて、やっとケー君のパパがやって来た。
「大変ご迷惑をお掛けします。ケーの父親です」とインタ―ホンに這入ってきた。

 モニターは勿論録画され、用意してあった写真と照合して入口を開錠したNatsuは、

 ケー君のお帰りしたくを用意して入口に立ってケー君のパパを迎えた。

「お迎えご苦労様です。お熱がけっこう出ていまして、8度2分ありました」

「そうですか。ご迷惑をお掛けしました」言ってNatsuに手を引かれていたケー君を抱き上げた。

 そして、じっとNatsuを視た。

 視線を感じたが気がつかないのか、

「お大事にしてください」と頭を下げると、ルームから
『Natsuさん、ちょっとお願いします』と呼ぶ声に答えて振り向くNatsuの背中に、

「Natsu。・・・同じ名前なのですね」とケー君のパパが呟いた。
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