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第11章 雅人

この時ばかりは妻の優人への執着に感謝した。ショックのあまり発狂しそうな妻を宥めるうちに、落ち着きを取り戻せたからだ。


優人と別れるよう彼女に伝えれば、幸恵は身を引くであろうと思ったがそれでは病院まで辞めてしまうと雅人は確信していた。
妻の望みは叶うが、それは嫌だった。かといって優人と結婚してしまうのも我慢ならない。


いくら考えても答えは出ず、雅人は自分と幸恵に執行猶予期間を設けた。




――――そして、最愛の妻が死んだ。