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治安部隊
第2章 ワタシノ ハジメテ
「はあっ…はぁっ…。千里っ!大丈夫?」
『はぁ…はぁ…おか…ぁ…さん…』

頭がボーっとして何も考えられない。

「殴られた?レイプされたの!?見せなさい!」
お母さんは汚された私のカラダを確かめていった。

「千里!あなたは汚れてなんかない。お母さんが保証する。これから強く生きなきゃ駄目よ。何があってもくじけちゃダメ。今日より辛いことはない。
何かあったら俊樹く…金子さんを頼りなさい。私は…警察に行かなきゃいけない。」

お母さんは電話をかけ始めた。
嫌だ…お母さんがどこかに行ってしまう…。

「もしもし俊樹くん?すぐ来て、緊急事態。私は警察に行かなきゃいけないから。来てくれたら事情を話した後警察に電話する。」

電話を切ったお母さんの目は、何か覚悟を決めているように見えた。
「千里…こんなお母さんでごめんね…。私は全然母親らしい事をしてあげられなかった…。
でも、これだけは分かって。私はあなたを愛してる。一緒にいなくても、心はずっと千里と一緒だから。」

金子さんがすぐに飛んできて、部屋に広がる惨状にたじろいでいたが、お母さんから事情を説明されてすぐに冷静になっていた。

「俊樹くん、千里の事をよろしくね。」
「わかったよ、洋子さん。後は任せろ。」
『やだ、お母さん!行かないで!お母さん悪くない!私を守ってくれたもん!警察に捕まるくらいなら、一緒に逃げよう!』

「千里、それはできない。あなたを守るためとはいえ、私はこの男を殺してしまった。
最期くらい、母親でいさせて?」

さいご…何言ってるの?お母さん!

「もしもし。私は娘がレイプされそうになっているのを守るために、さっき私の恋人を包丁で刺して死なせてしまいました。これから自首します。
娘は無事ですが乱暴されたので、知人にかけつけてもらいました。知人はこの件とは無関係です。私はこれから自首しますので、こちらをよろしくお願いします。住所は…」

『やだ…やだぁお母さん…置いてかないで…お母さんは私を守ってくれたの…人殺しじゃないの!!!』
「千里ちゃん、ダメだ。どんな理由があっても、人を死なせたことからは逃げられない。」
『いやぁー!!!!!』


私の全力の叫びは届かなかった。


自首すると言ったお母さんは、家を出たその足でアパートの屋上から飛び降り、本当に私を置いて行ってしまった。
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