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ホップステップ
第6章 投げる幸子
翌日
香が見舞いに来る 

「バイト先に行ったら事故ったって言うからさ。」

「ご心配おかけしました。」

香はサングラスをかけている
香水の良い匂いがした

「さっちゃんさ、うちで正式に働かない?」

香が雇用契約書を見せる
会社勤めの倍の給料だった
福利厚生にコンドームの支給、アダルトグッズの社員割引と書いてある
さすがだ

「今まで通り在宅勤務多めにするわ。たまに出社してくれたら良いからさ。」

「よろしくお願いします。」

「無理しないでね。」

「はい、これ入社祝い。」

下着だった
紫の花柄のブラに紫のTバックだ

「す、透けてる。」

ブラカップの先端がレースで透けている

「京介には刺激が強いかしら♪」 

幸子は赤くなる


香が帰ると幸子はトイレに立つ
足は自由だが
やはり手の骨折は不便だった

廊下を歩いていると向こうから三原が歩いてくる

「あっ。」

「どうしてすぐ知らせてくれなかったの?」

三原は怒っているようだ
私たち、入院したら駆けつける関係?
幸子は疑問を持つ

「香の事務所で働いてることも黙ってたね。」

全てバレたのね
幸子は開き直る

「私、三原さんを待てない。」

「それを承知の上じゃなかった?」

幸子は涙が出る

「いざというとき三原さんを頼れない。」

「娘は今大事なときなんだ。」

頭では分かってても
幸子の不満は爆発する

「あたしが事故っても平気?」

待合室で声を上げる
周りの人が振り返るのが分かる

「あたし、もう限界。」

三原が悲しそうな目をしている 
幸子は泣くしかなかった

「終わりにしよう。」

三原が踵を返してエレベーターに向かおうとする
幸子は病室にあったトランクスを大急ぎで取りに行く

三原がエレベーターに乗るのが見えた

「だいっきらい!」

エレベーターに向かってトランクスを投げる
ギリギリ入ってエレベーターが閉まる

「あースッキリした。」


病室に戻る

「けじめついた?」

松下に聞こえていたようだ

「あたし、仕事に生きるから!」

「お前らしいな。」

幸子は早速松下のパソコンを借りて 
仕事に励むのであった
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