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特別棟の獣
第15章 離れる心
一応、百合の誤解でも解いてやるか。


スマホを取り、百合に電話をかける。



『……何?』

「何処にいんだよ」

『家だけど』

「なぁ、さっきのだけど───」

『やめて……、何も聞きたくない』


駄目だ。

俺の話なんて聞こうともしない。


『やっぱり私も遊ばれてたのかな……』

「は?何言ってんだよあれは──」

『もういい……ケホッ、ケホッ…』

「何、風邪?」

『ん…、頭痛いし、なんか寒い…』

「熱は?」

『体温計ないし……寝てれば治るから……ケホッ、じゃあね』

「あ、おいっ!待て───」


切られた……


確か吏生さんと同じマンションって言ってたよな?


引越し手伝ったから場所は分かるけど部屋番号までは知らねぇな…




何故か俺の足は薬局に向かっていた。


いつもならこんな事しないけど。


買い物カゴに体温計、熱さまシート、風邪薬、スポーツ飲料を入れていった。

食べやすそうなゼリーとかお粥も入れて会計を済ませ、百合のマンションに向かった。
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