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木の実を集めて君にあげる
第12章 一緒に歩き続ける
「次はもう一回り大きいのをプレゼント出来るかな?
今の僕は、
どんぐりからちょっとバージョンアップしたトコだからさ」と言うと、
瑞樹ちゃんは嬉しそうな顔でそっと指輪を撫でて、
「凄く嬉しい。
悠介さん、ありがとう」と微笑んでくれた。


「でもね。
指輪はこれで充分よ?
左手の薬指、
1本しかないんだから、
これ以上、嵌められないでしよ?」と笑うと、

「それより、
健康に気をつけて、
なるべく一緒に過ごせるようにして欲しいもの」と言って、
頬にキスしてくれる。


確かに瑞樹ちゃんは、
全然、アクセサリーとかバッグとか、
欲しがることなくて、
いつも、瑞樹ちゃんのお父様がそのことを揶揄っていた。



「あ…れ…?
右手の指輪は?」と言うと、
瑞樹ちゃんは今頃気づいたのという顔をした。


「あのね。
無事に出産した後、外したの。
悠介さんが守ってくれるから、
もう大丈夫よって言って、
ジュエリーボックスに仕舞ったの」


「良いの?
大丈夫なの?」


「やだ。
悠介さん、しっかりして?
私達のこと、守るの、
悠介さんの仕事でしょ?」と言いながら、
瑞樹ちゃんに涙を拭って貰った。



そうだよね。
僕が守るから。

木の実くらいしかあげれないけど、
精一杯、守るから。

その分、
微笑んでくれたら、
凄く幸せ。


あ、キスとか、ハグとか、
それにあれやこれや、
してくれたら、
もっと幸せ。



そんなこと考えてたら、
また、ニヤけてしまって、
紅くなってしまった。


「パパ、どうしたの?
お顔、この葉っぱみたいに紅いよ?」と言われて、
我に返る。


来年あたり、
2人目、欲しいけど、
また、帝王切開だから大丈夫かなと思いながら、
今夜もたっぷり愛し合いたいと思って、
3人、手を繋いでのんびり歩く。


木の実を拾いながら、
のんびり、ゆっくり。




(完)
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