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木の実を集めて君にあげる
第4章 瑞樹ちゃんとのキス
でも、ちょっとだけ皮肉めいた口調で、
「まだ安西くんか。
名前で呼んでくれないの?
まあ、良いけどさ」と口にしてしまった。


車に乗って、
「食べたいものは?
何処か行きたいトコとか、ある?」と訊いてみたけど、
考え込んでしまっている。

「みなとみらいとかの夜景見えるトコで、
なんか食べようか?」と言って、車を出した。


家族で食事したことがあるエスニック料理の店に行って、
のんびりメニューを見ながら、
食べ物の好みなんかをチェックしていく。


好き嫌いやアレルギーはないけど、
辛いモノは苦手なのか。
じゃあ、タイ料理より、
ベトナム料理寄りのヤツが良いかな。

えっ?
インドのカレーは結構辛くても大丈夫なんだ。

知らないことばかりだから、
何を話すのも新鮮で楽しい。

心の中で、
瑞樹ちゃん情報をメモしていった。


お酒は飲めない。

飲んだら気絶する?
それは危ないな。

咳喘息あるから、煙草もダメ。
うん。
それは知ってる。

お店、選ぶ時も、
禁煙のトコ、選ぶように気をつけてるよ。



食事が終わる頃、
つい、
「あいつら、凄かったな」と言ってしまった。

「あっ、そうか。
瑞樹ちゃんからは、見えなかったんだね。
映画の時も、結構ハードで参ったよ」と言うと、
瑞樹ちゃんが飲んでいた紅茶にむせて咳き込んでしまったので、
慌てて背中をトントンしてあげた。

ん?
やっぱり見えてたのか。


でも、ちょっと反応見たくて、
わざと続けて言ってみる。

「今頃、まだ、ラブホに居るのかな?」

瑞樹ちゃんの顔が紅くなる。


瑞樹ちゃん、
ラブホとか、行ったことあるのかな?

宇田川亮平と色んなことしてるのかな?


でも、こうやって紅くなってるくらいだから、
まだプラトニックな付き合いなのかもしれないな。



「僕も瑞樹ちゃんにキスとか、したかったけど、
もう、あいつらがそれどころじゃない感じだったし、
平常心保つの、もう必死だったもん」と言って笑った。


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