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木の実を集めて君にあげる
第1章 桜の樹の下で出逢う
地元では名門の『女子校』の附属の幼稚園は、
名門の小学校に入る為の登竜門とされていた。

僕も小学校の受験の為に、
そこの幼稚園に入った。


女子が割合的に多くて、
男子は少なかった。

そして、数少ない男子の殆どが通学圏にある小学校を受験するので、
ライバルでもあるけど、
中には長いつきあいになるヤツもいた。


僕はそんな男子の中では、
身体が大きくて、
なんでも出来るけど、
大人しい子供だった。

大人しいというより、
大人びていたのかもしれない。


何しろ、上に2人いた兄弟は歳が離れていて、
大人の中の一人っ子みたいなもんで、
可愛がられてはいたけど、
大人扱いされることも多かったから、
聞き分けの良い、
少し生意気な子供だった。

それが気に入らないと突っかかるヤツも居たけど、
身体が大きいし、
武道も習いに行ってたから、
喧嘩にもならない。


ソフトなジャイアンみたいな変な子供だったのかもしれない。

子供同士で群れるのも好きじゃなくて、
本を読んだり、
先生と話をすることが多かった。



瑞樹ちゃんは、そんな僕と違って小さくてとにかく可愛いかった。

走るとすぐに咳が出てしまうらしくて、
園庭でアホみたいに遊んでいるコと一緒に居ることは少なくて、
先生と一緒に本を読んだり、ピアノを弾いたりしていた。

そして、ウサギや鶏に餌をあげたり、
小屋を掃除したり、
園庭の花壇の花にお水をあげたり、
桜の樹の下で、花弁を集めているのも見かけた。


近くに行くと、
花に話し掛けたりしていた。


「変なヤツ」と他の女の子がしていたら、
笑っていたかもしれないけど、
瑞樹ちゃんなら、花や動物とも会話が出来るような気がした。



気づくと僕はいつも、
瑞樹ちゃんのことを探して、
目で追っていた。



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