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おっかない未亡人
第7章 ラジオネーム:不毛なワンピース
夜は関本に手料理を振る舞う約束だ

幸子は下着を選んでいた
彼の前で裸になるかもしれない
ボディクリームを入念に塗って香水もつけて

上下セットの下着を身に付けること自体
遠ざかっていたから新鮮な気分だった

全身鏡で見る
あああ
もっとダイエットしとくんだった
お腹の肉を摘まむ
お尻もたるんでる

「宅急便来たよー。」

槻がノックもせず歯磨きをしながら部屋に入ってくる

「ごめん出てくれる?」

「えー、歯磨き中。」

仕方なくワンピース被る

宅急便の人にも
あたしこれから彼の家にお呼ばれなのー
って声高に言いたくなるくらいだった



「あたし今日帰らないかもだから。」

「ほいほい。」

槻は何も聞いてこない
リビングで雑誌を読んでいる

「何も聞かないの?」

「うーん強いて言えば、その服ダサくない?」

「え、そう?」

「あっちにしときなよー。この間買ったさー、髪もまとめないで下ろしてさー。」

家にアドバイスしてくれる人が居ると助かる


「あ、叔父さん?」

槻は電話でなにやら話し始めた

「うん、うん、昼?まだだけど。うん、あー
どーかなーー。今夜帰らないとか言ってるけど。さっちゃーん?」

「ん?」

アドバイス通り着替えている最中だった

「叔父さんが今からご飯いこうだって。おばあちゃんも一緒に。」

「あー、、、わかったぁ。」

関本に合うのは夜だから問題ない
けどお母さんも来るとなると気を使う
いよいよ三原家から追い出されるのかな

娘と2人の暮らしを気に入っていた
そりゃ私たちは血は繋がっていない
だけど夫が居ない今、一番身近な家族だった

「ラジオ聴いていい?」

槻が珍しくラジカセを持ってくる

~はーい、今日も始まりましたあー星野香のDJショー、ということで早速お便りを読んでいきたいと思います。ラジオネーム、タヌキの恋人さんからいただきました。~

「え、香さん?」

夫の元妻で槻の母の香は
モデル兼事務所社長で 
相変わらず手広くやっているようだ

「ママ、ラジオパーソナリティ始めたの。あたしもメール送ったけど読まれるかな。」

微笑ましい気持ちで香の声聴く
この人の行動力はけたたましい
あたしも見習わないとな


「槻ちゃん、あたしまだこの家に居ていいかな?」

「いいでしょ。フツーに。」

「ほんと?」
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