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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第55章 後悔(アズート)
「ぎゃっ・・・・」
短い悲鳴を上げて男は手を放した。

素早く壁に飛び去ったマチルダは肩で息をしている。
手首にクッキリと、アザと血糊が付いていた。

金色の瞳が闇に浮かんでいる。
壁に飾られている聖剣もほのかに光る。

「な、何しやがる・・・」
男は脂汗を浮かべた顔を歪ませていた。

身構えていたマチルダはサッと身体を翻すと、聖堂を出て行った。
闇の中に少女のシルエットが消えていった。
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