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呪われた王宮~宿命を負う聖少女の物語
第58章 不安(アズート)
「お許し下さい、アナタ・・・。愛しています、でも恐いの・・・。こうして・・・こうして抱いていてくれるだけで幸せなのです」

不思議な事に、金色に輝く瞳で見つめられると王は拒めなかった。
どんなに激しい欲情も、清らかに消されてしまうのだった。

王は何時までも変わる事のない自分の愛と妻の瞳に宿る貞淑な想いを感じると、優しくその細い肩を抱いてやるだけで我慢した。
時折でもいい、こうして愛おしい妻と甘美な交わりが出来るのだから。

そんな清楚な所が魅力で、王はマチルダを崇拝しているのだった。
眉をひそめた表情が又いい。

マチルダは王の逞しい腕の中で、官能に火照った身体を静めようと懸命であった。
貫かれた余韻が身体中を包み、熱いものがとめどなく奥底から溢れ出てくるのだ。

この頃、更に敏感になった気がする。
もう一度抱いて欲しい。
そんな欲望をかき消すように呟いた。
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