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人生双六~振り出しに戻る~
第3章 小4秋
 上半身裸になりスカートを捲り上げた菖子が便座に腰掛けている男の上で腰を振っている。
 グニュグニュ。
 布越しに聞こえる淫水の音を聞かなくても何をしているのか一目瞭然だ。
 新婚2年目で新しい刺激を求めて野外セックスか。
 まあそれなりのネタではあるがそれ程インパクトはない。
 「ウグゥ。」
 10分程目合って男が噛み殺したうめき声を上げる。どうやら終わったようだ。
 菖子は男から降りるとカラカラと大量のトイレットペーパーを手に巻きスカートの中で股間を拭う。
 「よかったよ。」
 囁きながら顔を寄せてくる男の前に手を差し出す。
 「チェッ。判ってるよ。」
 毒づきながら男は壁に掛けた背広から財布を取り出すと数枚の紙幣を菖子に渡す。
 「また逢えるだろ?」
 猫なで声の男を無視して数えた紙幣をスカートのポケットに仕舞い身支度をする間にカメラは回収され静かに外に出る。
 ここで映像は止まるが直ぐに次の動画が始まる。
 内容は前回と同じだが相手の男が違う。
 そんな動画が3本続く。
 「おいおい。」
 見終わり呆れて溜め息をつく儂に好実がニチャリと嗤いかける。
 「面白いでしょ?」
 面白い。
 本当に面白い。
 
 数日後の土曜の朝。
 いつもより10分早く家を出た儂はいつの公園で一息ついてから木陰に身を忍ばせる。 
 4時57分。
 サクサク。
 軽い足音が響かせやってきたのは目深にキャップを被り顔を隠した菖子じゃった。
 あれで顔がばれないと思っているのじゃから可愛いものじゃ。
 Gパンに長袖のTシャツ。足元は動きやすいスニーカー。
 一丁事あれば逃げるなり戦うなりしやすい格好だ。
 それなりに考えてはいるようだ。
 指定された水呑場に立ち辺りと腕時計を交互に見る顔は不安気だ。
 5時00分。
 キョロキョロする回数が倍に増える。スマホを取り出しにらめっこしてるのは待ち合わせ場所の確認だろう。
 「ごめんなさ~い。遅れちゃたぁ~。」
 口では遅刻を詫びながらのんびりと歩いてきた女はブラウスに膝丈のフレアスカート。足元はハーフブーツ。
 大きな黒いマスクで顔の下半分を覆っている。
 目元は普段と違う太い黒縁の眼鏡。
 薄暗い外では判り辛いが好実だ。
 「貴女があれ送ってきたの?」
 語気荒く菖子が吠える。
 
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