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花の香りに酔う如く
第9章 イランイランの誘惑①〜沙羅
20歳の誕生日には、
「記念になるようなプレゼントをしたい」と律さんが言うので、

「はしたないことを言っても良いですか?
あのね。
律さんに抱いて欲しいです」と言ってしまった。


律さんは、庭先にあるお地蔵様のように固まってしまった。


「結婚してからって思ってたけど、
律さん、ずっと我慢してるんでしょ?
空くんが、『兄貴、良く我慢出来るな』って言ってたの。
我慢出来なくて、
他の女の人に走ったりしたらって思うと心配で…」と言うと、

「そんなことはないよ」と優しい顔で笑って、
抱き締めてくれる。


「沙羅ちゃんのお父様と約束したから、
きちんと待とうと思ってるよ。
あと、2年とちょっとだからね?」と言って、
優しく額にキスをした。


「でも…。
硬くなっちゃってますよ?」と言うと、

「そりゃあ、
沙羅ちゃんを抱き締めていたら、
そうなるよ。
オトコだからね?」と笑う。


「痛くないの?」と真剣な顔で言ってみると、

「まあ、辛いけど、
自分でやれるから…」と答えた。


「自分で?」


「そうだよ。
自分の手で扱いて出せば、
また小さくなるからね」


「沙羅がやってみましょうか?」と言うと、
律さんは絶句した後、
紅い顔で下を向いてしまった。


そして、
「見たこと、ないよね?
見るとさ。
きっとグロテスクだし、
怖くなっちゃうから…」と言って、
頭をポンポンされてしまう。


「沙羅のこと、
お子ちゃまだって思ってるでしょう?」と、
口を尖らせて言うと、

「そんなことないよ?
じゃあ、ホテルに行って、
してみる?」と頬にそっと手を触れながら覗き込むように言われると、

「えっ?」と声が出てしまう。


「ほら?
やっぱり、怖いでしょ?
沙羅ちゃん、無理に大人にならないで?
卒業して、お嫁さんに貰う日まで、
ゆっくり待ってるから」と、
本当に優しく抱き締めて背中を撫でてくれた。
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