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第6章 その5
その5


 まだ陽が昇らないうちに、サヤちゃんと香織さんは救急車で私と同じ、この病院に担ぎ込まれてきた。
 朝には警察から男三人の身柄を拘束したと連絡があった。寛治については事実通りのことを話した。
 午後になってバッグと衣類が戻ってきたから、スマホで洋子さんに連絡を入れると一時間後には信夫さん、ショウちゃんを連れて見舞いに来てくれた。

「メール見たときは心臓が止まるかと思ったわよ。ホント大変だったわねえ。でも、真知子さんも逮捕されるのかしら?」と洋子さん、信夫さんに顔を向けて聞いた。

「うーん。初犯やし、もっと大きな犯罪の被害者やから、今回は説教されて終わりってことになるんとちゃうかな」

「そう。ならいいけど。で、真知子さん。これからどうするの?続ける?」

「もうやめときよ」とショウちゃん。
「今回助かったのはたまたまだって思わなきゃ」

「そうだなあ。あのサイトは怖い目にあうリスクが小さいって噂だったんやけど、それがこんなことになるのなら、やっぱり安全に商売は出来ないってことかなあ」
 信夫さんはサイトを紹介した手前、ショックの度合いが強いみたい。

「みなさん、心配してくださってありがとうございます。せっかくいろいろ教えてくださったけれど、私はもう続けられないと思うんです。ちょっと自信とかあったんですけど、今はもう何もかも無理かなあって感じ」

「わかった。カタギの仕事を探しましょ。あたしも一緒に探してあげるから、安心して身体を休ませるのよ」

 みんなの顔を見てるうちに眠ってしまった。夕食が運ばれてきて、看護師から起こされたときにはもう三人はいなかった。

 信夫さんの思った通り、私の犯罪は罪に問われることはなかった。次に同じことをした時は覚悟してくださいね、とお説教をされたあと、解放されたの。
 少しばかり貯まったお金を大事に少使いながら仕事を探して、ようやくクリーニング店の受付の仕事にありついた。時給は最低賃金だけれど週に五日働けるから、これでなんとか暮らしていける、とひと安心したわ。


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