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ターゲットはシニア
第7章 その6
 振り向くと、サヤちゃんがベッド脇で自分の服を脱いでいる。
 あの時の状況を望んでるんだわ、そう判断した私は、ジーパンと下着も脱いだ。

 丸裸になって顔をあげると、美しい子どもの姿が目の前にあった。ほんの少しふくらんだ胸。ふっくらしたあそこに薄っすら生えている柔らかそうな陰毛。
 中性的なその身体はまるで天使みたい。でもこの子は心を深く傷付けられた、可哀想な天使なのだ。

「おいで」
 私はサヤちゃんを抱き寄せて、ベッドに寝せた。それから彼女の口元に乳首を近づける。

「おばさん。お願い、子ども扱いしないで欲しいの」

 私はその意味がわからずにキョトンとするばかり。

「あの人たちがやったようなこと。私をオンナとして扱った、あんなようなことをおばさんにして欲しいの」
 サヤちゃんは張りつめた表情をしていた。その目が真に訴えている。
「記憶を上書きしたいんです」

「でも私は女だよ。肉茄子なんか付いてないし」

「にくなすび?」

「あ、ごめん、わからないよね。肉茄子って呼んでるのよ、男のぶら下げてるやつ」

「ええ?誰がそう呼んでるんです?」

「私だけよ、そんなふうに言うの」

 突然、サヤちゃんは大笑いを始めた。その顔を見た私も釣られ笑いしちゃったわ。

「にくなすび、にくなすび」

「 そう。で、萎んだやつはぶらんぶらん!」

「ぶらんぶらん!アハハハハ」

「 ふふっ。男ってさ、馬鹿みたいだよね、あんなもの前にぶら下げて。サルトルって哲学者が言ったんだけどね、しょせん男は喜劇役者だって。ホント、そう思うよね」

 サヤちゃんは大笑いをしばらく続けたあと、何かを吹っ切ったように乳首に吸い付いてきた。私はサヤちゃんの髪を優しく撫でる。何度も、何度も。

「ずっとそうやってていいわよ。鳥取に行っても、いつでもまたいらっしゃいね。このおっぱいはサヤちゃんにあげるから」


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