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義娘のつぼみ〜背徳の誘い〜
第5章 少女の決意
1
夏真っ盛りの八月初旬。夏休みに入った茉由は、友だちからの遊びの誘いも断り、連日家事に勤しんでいた。
自分と親子であり続けたいという武司の真意を知った茉由は、今度は自分が彼を支える番であることを決意し、立ち直ることが出来た。そして積極的に掃除・洗濯をこなし、少しずつ料理を覚えるなど、少しでも武司の助けになろうと努力していた。
その日の昼過ぎ、茉由は見よう見まねで作った昼食をトレーに載せ、かつて両親の寝室だった武司の部屋へ運んだ。
「パパ、お昼ごはん。ドアのところに置くから、ちゃんと食べてね?」
扉の横に設置した、小さなテーブルにトレーを置き、扉をノックして声を掛けた。返事はなかった。
理恵が亡くなったあの日以来、この家からは笑い声が消えた。妻の死亡に関わる各種対応と手続きを全て終えた武司は気力を失い、部屋にこもり気味になってしまった。
茉由はインターネットを活用し、料理を次々と覚えて父親の食事を用意していた。なかなか元気を取り戻してくれない彼を思うと、茉由は何度も泣きそうになったが、彼女は負けずに家事全般に励んだ。そしていつしか、それは彼女の喜びへと変わっていた。
「わたしって、なんだかパパの奥さんみたい……」
ベランダの掃除の合間に、外の景色を眺めながら物思いに耽る茉由は、ついそんな言葉が口をついていた。
(――あ、そうか)
そして彼女は、ある考えに思い至った。
(わたしが、ママの代わりになればいいんだ……)
夏真っ盛りの八月初旬。夏休みに入った茉由は、友だちからの遊びの誘いも断り、連日家事に勤しんでいた。
自分と親子であり続けたいという武司の真意を知った茉由は、今度は自分が彼を支える番であることを決意し、立ち直ることが出来た。そして積極的に掃除・洗濯をこなし、少しずつ料理を覚えるなど、少しでも武司の助けになろうと努力していた。
その日の昼過ぎ、茉由は見よう見まねで作った昼食をトレーに載せ、かつて両親の寝室だった武司の部屋へ運んだ。
「パパ、お昼ごはん。ドアのところに置くから、ちゃんと食べてね?」
扉の横に設置した、小さなテーブルにトレーを置き、扉をノックして声を掛けた。返事はなかった。
理恵が亡くなったあの日以来、この家からは笑い声が消えた。妻の死亡に関わる各種対応と手続きを全て終えた武司は気力を失い、部屋にこもり気味になってしまった。
茉由はインターネットを活用し、料理を次々と覚えて父親の食事を用意していた。なかなか元気を取り戻してくれない彼を思うと、茉由は何度も泣きそうになったが、彼女は負けずに家事全般に励んだ。そしていつしか、それは彼女の喜びへと変わっていた。
「わたしって、なんだかパパの奥さんみたい……」
ベランダの掃除の合間に、外の景色を眺めながら物思いに耽る茉由は、ついそんな言葉が口をついていた。
(――あ、そうか)
そして彼女は、ある考えに思い至った。
(わたしが、ママの代わりになればいいんだ……)