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寝取られ妻
第3章 不覚
「相変わらず綺麗で驚いたよ。可愛らしさに大人の色気が加わって本物の美女になったね」

酒にはめっぽう強い矢野がゴクゴクと水割りを飲みながら、久美子を口説いていたのだった。

「わかった、わかった!ありがとう!じゃ、私はこの辺で・・」

久美子はそう言って何度も席を立とうとしたのだが、その度に矢野がそれを許さなかったのだ。

そんな時間が重なり、ふと周りを見ると自分と矢野以外の6人全員が寝てしまっているのだった。

(そんな・・)

久美子は内心で心細い思いをしていた。

何故なら、矢野は話術が達者だった。

そして、何かのたびに久美子の体に触れてくるのだった。
 
肩に手を載せたり、腕を掴んだり、髪に触れてみたり、胸を突いたり、と素人芸ではなかった。

久美子は繰り返し吹き込まれる褒め言葉と口説き文句、そして絶妙なボディタッチに加えて酒の酔いと睡魔が相まってまるで催眠術にでもかかったかのように今にも寝落ちしそうになっていた。

「こらこら、俺と話してるのにどこ行くの?」

久美子はもうこれ以上、矢野に付き合っていたら面倒な事になると思い、何とか矢野から逃げようとした。

矢野の腕を振り払って、久美子は愛する夫のもとへようやく戻ったのだった。

だが、祐介もテーブルに顔を載せて寝落ちしていたのだ。

「祐ちゃん、起きてよ!私一人じゃ寂しいじゃない!」

自分も酔いと睡魔に襲われ、今にも寝落ちしてしまいそうになりながら、久美子は何とか祐介を起こそうとしたのだった。

「アハハ、頼みの亭主も頼りにならないね!」

矢野がその光景を見てせせら笑うのだった。

本当なら、矢野に帰ってくれるように言いたいところだが、他の皆も寝てしまっているこの状況では、矢野一人に帰ってくれとは言えなかった。

久美子は泣きたくなってきた。

「久美子ちゃん、こっちおいで!僕の相手してよ!」

矢野が久美子を呼んでいた。

頼みの祐介も起きそうになかった。

「ちょっと待って!トイレに行ってくる!」  

久美子は少しでも時間を稼ぎたかった。
 
自分がトイレに行っている間に矢野が酔い潰れている事を期待したが、それも無理な話だった。

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