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第1章 土井社長　～　神戸国際投資顧問会社の秘密

　翌週、土井は、大阪を訪れていた香港の銀行幹部と会食した後、「ラ・シンセリテ」に案内して歓待した。そして、閉店間際に、先方を送り出すと、綾子ママとの前週の約束通りに、吉村麻衣をアフターに連れ出した。毛先を少しカールさせた髪が、肩から背中に流れている。薄いジョーゼットのミニワンピースが、長身で、すらりと伸びた手脚と、豊満な胸や腰を際立たせた。

　近くの料理屋の狭い個室で、夜食に、少しの鱧料理と茶漬けを食べながら、麻衣は、　「初めてのアフターのお客様には、緊張するんです。」　と、小さな声で言いながら、うつむいていた。それでも、土井の優しい問いかけに応えて、大好きなリトル・グリーン・モンスターの曲のことや、メンバーの２人が休養して残念だといったこと、それに、YouTubeの町中華チャンネルで紹介されていた、お初天神の老夫婦の店のことなどを、少しずつ話すうちに、笑顔を見せるようになった。少し脚を崩した時に、ずり上がるミニワンピースの裾を抑えて、上目使いに恥ずかしがる様子が、清潔な色気を醸し出した。