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第1章 土井社長　～　神戸国際投資顧問会社の秘密

　「そこで、神戸にルーツがあって、古くから公私にわたる付き合いが深く、同じように海外資産の管理運用の事情を持つ８つの家が共同出資して、この投資顧問会社を設立したんです。会社としては、それぞれの家とコンサル契約を結んで、毎年の報酬をいただいています。もっとも、会社とは言っても、私が社長兼コンサルタントで、あとは、資産管理関係の事務が結構な量になりますので、その担当の女性社員が４人、という所帯です。」　　土井は更に説明を続けた。

　「代々の社長は、８つの家の縁者から選ばれて来たんです。初代は、木材貿易を営む吉田家の当時の当主の甥子さんで、日本銀行ロンドン支店で幹部を務めていた方でした。私は、実は、神戸聖母愛育院で育ちまして、昔から愛育院を支援してきている青山家の援助で、アメリカに留学させてもらいました。青山家の今のご当主とは同年代で、兄弟同様の付き合いをしてきたご縁がありましてね。向こうで弁護士資格を取ってから、ニューヨークで投資銀行の運用マネージャーをしていたんですが、１５年ほど前に、彼から話があって、呼び戻された次第です。」