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濡花 ~義理の父親に堕とされていく若妻~
第34章 花怜と涼華 ~本章~
花怜は伝う涙を拭うこともしない。

【あぁ…そうか……私……そんな酷いことを涼華に……】

義父に無理やりといえ、今は溺れきっている。
それに二人は知らない。
裏切りは夫だけじゃないということを…。
涼華の言う通りだと思った。

「お義父さん……すみません……私が悪いんです……でもあの時は……」

プルルルッ…プルルルッ……

不意に内線電話が鳴った。
時間は18時を15分ほど過ぎていた。

卓司が腰を上げて電話に出た。
それは夕食の予約時間を過ぎているとの連絡だった。

「二人とも食事の時間だから…食べながら話そうじゃないか…」

卓司の言葉に二人はなかなか返事ができなかった。
先に花怜が口を開いた。

「ごめんなさい……食欲なくて……」

「お姉ちゃんってほんとに変わってないのね……行かないってお義父さんに迷惑かかるってわからないの……。私は行きますよ……大きな声出してお腹も減ったし……」

涼華は少なからず積年の恨みを吐き出せたことに満足感を得ていた。

【…そっか……ここで駄々を捏ねるなんて子供っぽいってことなんだ……】

「…お義父さん……」

花怜は涙に濡らした顔を上げて義父を見つめた。

「…花怜……無理はしなくていいんだよ…」

「…いえ……涼華の言う通りですから……急にキャンセルなんて変に思われたりしますもんね……大丈夫です……」

「ありがとう……じゃあ…二人とも行こうか…」

涼華は羽織りに袖を通しながら言った。

「お義父さん……ずいぶんお姉ちゃんに優しいんですね……」

【お姉ちゃんはほんとにずるい……なんだか私が悪者みたいじゃない……】

卓司は涼華の言葉を聞き流す。

「花怜…涙を拭きなさい…そんな顔してたら余計に変に思われるぞ…」

「はい…そうですよね……すぐですから…少しだけ待ってください……」

花怜は涙を拭きに洗面台へと向かった。

「涼華……花怜は悪いと思ってるみたいじゃないか…仲直りできるんじゃないのかい?…」

「そんなに簡単なことじゃ……でもお義父さんは結局私もお姉ちゃんも手放したくないってことなんでしょ……」

「まぁ…そういうことだな…」

卓司は不敵に笑みを浮かべた。

【当たり前だろ…こんなにスケベな姉妹をどちらか一人に選ぶなんて勿体なくてできるか…】

花怜が戻ってくると、姉妹は距離を置いて卓司の後に続いた。
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