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羊にご用心!?
第1章 ~やっぱり甘めが好き~
「お嬢様……短い間でしたがお世話になりました」
目の前に居るのは執事のアル。
突然告げられた言葉にお嬢様はピタリと身体を固めた。
「お嬢様? 何も言ってくれないのですか?」
「アル。そんな犬コロのような瞳で見てもダメよ。出ていきなさいっ!」
「わっ、お、お嬢様!」
信じられない。
お嬢様は、ハァハァと息を切らしその胸に手をあてる。
────み、見られた。
グリッド伯爵家の令嬢であるリリムは、着替えの最中だった。
「リリム様、落ち着いて下さい」
「ええ、だいじょうぶ。落ち着いてるわ、少し動揺したけど」
着替えを手伝ってくれる侍女のメアリーは、少し苦笑しながらもドレスを着せてゆく。
「アルは悪い子じゃないんです」
「ええ、それもわかってる」
一週間前、執事のアルはグリッド家に執事としてやってきた。