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鬼の哭く沼
第7章 花は綻ぶ
指摘されて顔がカッと熱くなる。
乳房を弄んでいた手はゆっくりと脇を這い、腰のまろみを撫でて震える太股の外側を滑った。そのまま膝に手を添え、足を左右に割り開く。
香夜は一瞬、抵抗するように力を込めたが足の間に膝立ちで立つ須王を見上げ力を抜いた。陶然と、香夜を見下ろす須王の目に心臓が跳ねる。
「香夜…」
膝の内側から、足の付け根へと辿る指先。ようやく香夜の望む場所へと触れるかと思われたそれは、付け根とひくつく割れ目の間を行ったり来たりするのみで一向に思う刺激を与えてはくれない。散々弄られ煽られた身体は素直に反応し、淡い茂みの下、密やかな割れ目からは透明な蜜が溢れている。じっと注がれる視線にひくひくとその場所が疼く。
「随分物欲しそうだな、香夜…ここをどうして欲しい?」
「え、ぁ…っんん!」
ふうっと濡れてひくつく秘部へ息を吹きかけられて腰が震えた。いやいやと子供のように首を振って、両腕で意地悪く尋ねる須王から顔を隠す。
もどかしさと羞恥に、涙が零れた。
「も…や、だ…きらい…」
意地悪はしないで。そう言いたかったが声が掠れて半分以上言葉にならなかった。
ぴたりと須王が動きを止める。香夜、と名を呼んで顔を覆う腕を撫でた。
「………俺が憎いか?こうしてお前を追い詰める俺が、嫌いになったか」
「……っふ…」
腕を退かせされ、零れた涙を指先で掬い覗き込む須王の目は酷く真剣だ。その瞳の奥に揺らぐ不安の焔を見た気がして、香夜は小さく首を振る。こんなにも大きく逞しい鬼が、自分の心一つでこうも容易く揺らぐ事が心苦しく、そして愛おしい。
「…に、なれたら…」
「……?」
「嫌いに、なれたらどんなに良かったか…」
どれだけ意地悪な事をされても、もう嫌いになどなれない。これは告白だ。
香夜はここへ来たあの日、引っ掻き傷を作ってしまった須王の右頬へ掌を添える。もうとっくに癒えて痕も残ってはいないけれど…変化したのは傷痕だけではない。
この、自分の心も同じ。
くっと瞠目した須王が、上体を倒して足の付け根に顔を寄せる。とろりと淫蜜を垂らす肉襞に、喰らい付くように唇を押し当てた。