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第9章 09

気が付けば俺は小走りで走り寄っていた。


「ちぃ」


千紗の目の前で足を止めると、俺に視線を向けるが一瞬で逸らされた。


「ちぃ、話がある」

「誰かと思えば凜空じゃん」

「は？」


返事をしたのは千紗ではなく、隣にいた男だった。


俺よりも背の高いそいつに目を向けると──…




「げっ…、千晶くん…」


まさかの千紗の兄貴…、千晶(ちあき)くんだった。


「げってなんだよ」

「別に…」



俺はこの人が苦手だ。


千紗と千晶くんは年が離れているからか、凄く仲がいい。

それに千晶くんは千紗を溺愛してる。

心配性だし、千紗の事になるとすぐ駆けつけてくる。