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3度目にして最愛
第2章 2度目は絶望を




その後、辛い思い出の一つとして終わった初恋を忘れる為に、受験の追い込み時期は机にかじりつく勢いで勉学に打ち込み、無理だと思っていた偏差値の高い志望校への合格通知をもぎった。
高校時代は学生の本文である学業に脇目も振らずにのめり込み、その地道な努力が身を結んで元々食育に興味があった水城は栄養士養成課程のある4年制大学に進学した。

大学に入っても水城は恋愛には無関心だった。
大学デビューを果たした女子大学生が着る洒落っ気のある衣服よりも利便性の高い無地の洋服を好み、友人のしつこい合コンへの誘いも毎度断り続けた。

早くも大学2年生の段階で管理栄養士の国家試験対策に力を注ぎ、インターシップや就活で慌ただしくなる大学4年生、皆よりも一足早く内定を手にすると、大学卒業間際に資格を取得。

社会人1年目として実に晴れ晴れしい好調な出だしを水城は迎えた訳だが、左も右も分からない状況の中、社会という新しい環境へ放り出されるストレスで新卒の水城はご飯が喉に通らないどころか趣味だった読書すらままならない状況に陥った。

環境適応力が著しく低かった水城が常に目まぐるしく変化する社会に適応するまでに費やした時間は約5年。
27歳を迎え、やっと私生活に余裕が出てきた水城は、長年窮屈だった実家を出て一人暮らしを始めた。


窮屈だと感じたのは、女とは常に身嗜みに気を遣い、清楚な服を着て、ある程度の年齢を迎えれば結婚をして家庭を持つのが当たり前という古風な考えを子供に押し付ける偏見の強い母親がいた為である。


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