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海鳴り
第3章 ぬくもり
律子はふらふらと立ち上がり、ドアに鍵を掛けるとバスルームへ行き服を脱いだ。

頭からシャワーを浴び、そのままバスタブにざぶんと浸かる。


「……」


相沢に鷲掴みされた乳房に痛みが残っていた。

律子は自分を抱きしめて目を硬く閉じた。

相沢の鋭い眼差しが頭から離れない。

躰の重さとぬくもり、息遣い…

直也の感覚は残っていない。
けれども相沢の愛撫は、いつまでも律子の中から消えなかった。


近寄ってはいけない


律子は自分に言い聞かせた。


あんな人大嫌い
私の躰を勝手に…

勝手に…



律子は左の乳房を強く握った。

左手を恐る恐る下腹部に下ろしていく。

蕾を通り過ぎ、花びらを掻き分けてその奥を指で確かめる。


「…ぁ…」


ぬるぬるとした蜜に触れ律子は甘い吐息を漏らした。


どうして…


律子は戸惑い、脳裏に焼き付いた視線と唇、舌の動きを思い出し、乳房をギュッと握りしめた。



二人きりにはならない

もう会いたくない

会うのが怖い


奥に滑り込んだ指は強く締め付けられ、擦られ、バスタブの中は激しく波立って溢れる水音を響かせた。


「…ぁ…あ…、…うぅッ…ン……ん……ぁ、ッあぁッ…あぁっ……」




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