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混沌の館
第11章 愛の因子

「あの・・・まだイキませんか?」
久美の一言は、すっかり私を萎えさせた。
どうせ妊娠しているなら、久美の中に思いっ切り射精してやろうと思っていたのだが、元々の相性の悪さに加え彼女のやる気のなさは、そんな絶好の条件をも台無しにしてくれた。
私は、久美との結合を解くと、乱れた息を整えながら、散乱した衣服を拾い始めた。
「乱暴なことしてごめん。お金は口座に振り込んでおくから。後で教えてくれる?」
そう言って、久美の衣服も拾い集めて彼女に渡した。
「ありがとうございます。助かります」
久美は気だるそうに下着を身にまといながら答えた。全く有難そうな声のトーンではなかった。彼女のしゃべり方、いつもこんな感じで付き合っていた頃はそれが好きだった。でも、今こうして耳にしていると、どこか面倒くさそうに受け答えしている。私と話をするのが本当は面倒くさかったのかな?などとも思えた。
服を着て別れを告げると、久美は引き留めるでもなく、後でメールすると言って見送ってくれた。
期待に胸を膨らませて登った階段を、今は落胆と慙愧の念という重しを背負って降りた。
車のドアを開け、もう一度だけと久美の部屋を振り返った。
みすぼらしい明かりが見える。恋の魔法が完全に解けた私にとって、今度こそ二度と訪れることはないだろう。
車のキーをひねると、エンジン音が空しく響いた。
久美の一言は、すっかり私を萎えさせた。
どうせ妊娠しているなら、久美の中に思いっ切り射精してやろうと思っていたのだが、元々の相性の悪さに加え彼女のやる気のなさは、そんな絶好の条件をも台無しにしてくれた。
私は、久美との結合を解くと、乱れた息を整えながら、散乱した衣服を拾い始めた。
「乱暴なことしてごめん。お金は口座に振り込んでおくから。後で教えてくれる?」
そう言って、久美の衣服も拾い集めて彼女に渡した。
「ありがとうございます。助かります」
久美は気だるそうに下着を身にまといながら答えた。全く有難そうな声のトーンではなかった。彼女のしゃべり方、いつもこんな感じで付き合っていた頃はそれが好きだった。でも、今こうして耳にしていると、どこか面倒くさそうに受け答えしている。私と話をするのが本当は面倒くさかったのかな?などとも思えた。
服を着て別れを告げると、久美は引き留めるでもなく、後でメールすると言って見送ってくれた。
期待に胸を膨らませて登った階段を、今は落胆と慙愧の念という重しを背負って降りた。
車のドアを開け、もう一度だけと久美の部屋を振り返った。
みすぼらしい明かりが見える。恋の魔法が完全に解けた私にとって、今度こそ二度と訪れることはないだろう。
車のキーをひねると、エンジン音が空しく響いた。

