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My Godness~俺の女神~
第11章 喪失、そして再生 ♣ここではないどこかへ♣
―悠理クン。
早妃の少しだけ舌足らずな口調が無性に懐かしくて堪らない。
実里の面影から逃れるために故郷を飛び出してきたら、今度は早妃の顔が眼の前にちらついて消えない。
俺もつくづく女々しい男だな。
悠理の整った面に苦笑いが浮かぶ。
老人は相変わらず黙々と網をひろげる作業に集中している。まるで宝物を扱うような慎重な手つきだが、それも当然だ。漁師にとって網は大切な商売道具の一つなのだ。